こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の柴沼直美です。

今日は、接している他業種の方がとらえている「FPの評判」についてご紹介したいと思います。

 FPとして独立した当初は堂々とFPと名乗ることができなかった

筆者は独立系として活動しており、以前にもご紹介した通り、まさに万年自転車操業が必要なのでクライアント獲得に向けた営業活動と情報交換という目的で異業種交流会に足を運ぶことがあります。そこでの自己紹介で「ファイナンシャルプランナー」と名乗りますが、相手側から発せられる最初の印象としては、「胡散臭い」「だましや」というとらえ方をしている方が多いです。

理由は、再三お伝えしている通り「FPでなければできない専業業務がない」に尽きると思います。筆者も「FP」として一応胸を張って名乗れるようになったのは、独立してから5年以上経過してからでした。

やはり、当初「あやしい金融商品を売りつける輩」とか「保険を売りつける保険屋」という視線が痛かった(辛かった)ために、主に年金まわりのコンサルを中心にやっている社会保険労務士と名乗って信頼してもらい、徐々に「実はFPなので、おかねに関することはかなり守備範囲広く相談をお受けできます」と付け加えていってFPが本業という自分のステイタスをシフトさせていったと記憶しています。

独立して10年経った今でこそ、自分がやってきたことの実績を自信をもって説明できる状態になりましたので、初対面の人にでも抵抗なく「純粋なFP」と名乗っています。

 

 堂々とFPと名乗ることができるようになった理由

どんな感じで、「自信のない補足的にFPをやっている」自分から「純粋なFPをやっている」自分に変わることができたのでしょう。答えにならないかもしれませんが、ご相談の経験を積み重ねることだと思っています。10冊の専門書を読むよりも、10個の関連資格(例えば今ならDC(確定拠出年金や住宅ローンアドバイザーなどの民間資格)を取得するよりも、1人の方のご相談、1件のご相談を受けるほうが100倍はFPとしてのキャリアの積み重ねにつながると思います。

生の情報は常に変化し、新しい疑問が生まれてきますし、それに対してたとえアウトライン(輪郭)であっても回答や回答に結びつくガイドラインを示すために求められる自分のスキルや柔軟性は何物にもかえられません。

 

FP資格を取得した人ができる限り早く堂々とFPと名乗ることができるには

ではFP資格を取得したばかりで、いきなり独立したら、やはりその「胡散臭い」と思われる時代を避けて通ることはできないのか、ということになりますが、残念ながら「イエス」ということになります。ただ、この嫌な期間を短くすることは可能です。多くのコンサルテーションの経験を積むことに尽きます。専業業務がないFPにとってはこれ以外に、外からの評判を打ち消すことはできないのが現状でしょう。

どうやって、自分が何者かもわからないのに経験を積むことができるのか、という疑問も生じるでしょうが、有効な手段として以前にもご紹介しましたが、年に何度か開催されている、SG(スタディーグループ)主催のFPフォーラムに協力員として参加することです。無料相談員として一般の方々の相談をお受けすることができます。

1件でも多くの、1人でも多くの方々のコンサルテーションを経験することで自信もつきますし、自分自身の極めていく方向性も見えてきます。逆に言うと、経験をしない限り、いくらセミナーや勉強会に参加してもしょせん「ごっこ遊び」の域を出ません。同じことを繰り返してお伝えしているかもしれませんが、それほどコンサルテーションで冷や汗をかくことが重要であることを強調したいからにほかなりませんのでご了承ください。

 

保有資格が多いFPほど良いというわけではない

資格マニアのようにたくさんの関連資格をお持ちの方にお目にかかることがありますが、そんな方の中には、二つのタイプに分かれるように思います。一つ目は、資格取得が目的になっている方です。二つ目は、ご相談という場に直面して必要を痛感して「体系立てて理解したい」という動機から取得した方です。

前者のような方はどうしても、ご自分が持っているものを「見せたい」という気持ちが強いためか、知識を披露することが大事というスタンスでお話されます。また資格取得の動機も「FPだけでは不安だから」ということで、たくさんの資格を取得すれば、差別化できると思われているのではと感じます。

これに対してご相談の延長で関連資格を取得された方は、「相談」がご自身のメインなので、聞き手が気持ちよく自分の弱みや困ったことを話せるようなスタンスで口が重い(傾聴を大事にしているため結果的に口が重いように一見感じられます)傾向があるように感じます。

FPのように「まずはクライアントの解決したい悩みを理解する」ことが強く求められる職業では、一見口が重い方のほうが本当のコンサルテーションに長けていることが多いと思われます。

 

経験がやはり最も重要

経験をある程度積んで自信がつくまでは「FP」として堂々と名乗ることは難しいことを冒頭でお伝えしましたが、程度の差こそあれ、いわゆる弁護士や司法書士、税理士など専業業務がある士業であっても同じだと思います。税理士先生でも最初は堂々と名乗るのにはばかられるのではないでしょうか。「いやぁ、とりたてですから(合格したばかりだから)」というコメントを何度も耳にしました。

筆者自身も、金融機関での勤務経験で年金についてはある程度のベース知識があったから辛うじて、「年金まわりのコンサルをやっている」という前おきをつけて「社会保険労務士」と言っていました。今となっては未熟でまだまだ蒼かったなぁと、懐かしく思い出されます。