みなさんが資格を取得する、もしくは取得しようとする理由は様々だと思います。「資格を取ってキャリアアップしよう!」「独立したい!」「だけど、そもそもどんな資格があるのかな」
ファイナンシャルプランナー(FP)は簡単だから取得しても意味がないのでしょうか?そんなことはありません。そもそも、難易度の高さ・低さと資格の取得に意味があるかないかは、必ずしも比例しません。
FP技能検定試験で最も簡単な資格はFP3級技能検定試験ですが、むしろ多くの人にとって最も役に立ち、意味のあるものであるといえると思います。どうしてそういえるのか、現役のFPが解説します。
資格を取得する意味は取得者によって決まる
先ほどもお伝えしましたが、みなさんが資格を取得しようとする理由は様々です。よくある理由は以下のようなものでしょうか。
仕事関係(自主的編)
- スキルアップにつながるため
- 仕事の幅を広げたいから
- 業務効率をあげるため
- 技術、知識、ノウハウを習得したい
- 就職、転職に有利になると思うから
- 独立・起業に有利だと思うから(セカンドキャリア)
仕事関係(受動的編)
- 会社の昇給・昇格の要件となっているため
- 職場からの指示命令でしかたなく
収入関係
- 収入アップにつながると思っているから
- 将来や老後に不安があるため
趣味関係
- 趣味に活かしたいから
- 生活を豊かにしたい(精神面)
- 自分の能力を高めたい、証明したい
- 取得自体が趣味となっている
大きく仕事関係か趣味関係(もしくは両方の理由)に分かれます。上記を見るだけでも、数多くの理由があることがわかりますね。例えば、資格取得を独立することを目的としている人にとって、FPの資格は意味がないように見えるでしょう。
実際には、FPの資格を取ってFPとして独立して仕事をされている方は数多くいますが、いまだ独立していない人にとっては名称独占資格であるFPよりも、業務独占資格である弁護士や税理士、社会保険労務士などの資格の方が魅力的に見えるでしょう。
つまり、資格を取得する目的によって、意味がある、意味がないかが決まると言えます。FP(特に2級以下)の資格を取っても意味がないという人は、資格を取得して独立し、大きな収入を得ることを目的としている人にとってはその通りでしょう。
ですが、FPの資格は自らの家計の見直しに大きく役に立ちますし、仕事上でも特に営業をしている方に大きく役に立ちます。ですので、ただやみくもにFPの資格を取得しても意味がないという記事を鵜呑みにしない方がいいでしょう。
FPの資格は、生きていく上でとても大切な一般知識を幅広く学べることが、FP2級以下の大きなメリットだと思います。
FPの正答率から簡単か難しいか考えてみる
FPは正答率6割以上で合格と言われています。FPは3級から1級まであり、それぞれに学科と実技があります。順にみていきましょう。
FP3級学科
FP3級の学科では60問出題されます。60問中30問が○×問題、残り30問が3択問題です。問題が全く分からなくても、確率的には30問*(1/2)+30問*(1/3)=25問正解することができます。つまり、何もわからなくても25/60=41%取れるのです。
正答率6割到達するためには、60問中36問あっていればいいので、そこから何も考えなくても確率的にある25問を差し引くと、11問だけ正解すればいいことになります。こう考えてみると、正答率6割で合格というのはさほど難しくない、むしろ簡単だと言えるでしょう。
FP3級実技
FP3級の実技は実施団体によって違う問題が出題されます。日本FP協会では資産設計提案業務、金融財政事情研究会(きんざい)では個人資産相談業務、保険顧客資産相談業務があります。日本FP協会の実技では20問出題され、きんざいの実技では15問出題されます。いずれも3択問題です。こちらも問題が全く分からなくても、1/3=33%取れます。
正答率6割にするためには、残り60%-33%=27%を取ればいいのです。実技も学科と同じく、正答率6割で合格というのはさほど難しくない、むしろ簡単だと言えるでしょう。
FP2級学科・実技
FP2級の学科では60問出題されます。60問全てが4択問題です。問題が全く分からなくても、確率的には60問*(1/4)=15問正解することはできますが、合格するには36問正解する必要がありますので、残り21問は分かっていないといけないことになります。FP3級はほとんど分かっていなくても、多少分かっていれば合格することができましたが、FP2級以上になるとちゃんと分かっていないと合格することができません。そうした面から言えば、FP3級からFP2級に上がると、難易度が一気に上がると言えるでしょう。
FP2級の実技では日本FP協会、きんざいどちらにおいても選択問題と記述問題が出題されます。選択問題でも確率的に正解できる確率は相当低いです。ですので、ほとんどの問題を分かっていないと正解できません。FP3級とは違い、FP2級はラッキーで合格することはほぼ不可能です。
FP1級学科・実技
FP1級の学科は基礎編と応用編があります。基礎編では4択問題が50問、応用編では記述問題が15問出題されます。実技は日本FP協会ときんざいが実施しており、日本FP協会の実技では20問、記述問題が出題されます。きんざいでは口頭問題が出題されます。いずれも正答率は6割です。
FPの合格率から簡単か難しいか考えてみる
次に、合格率を見てみましょう。ここでは、日本FP協会についてみてみます。合格率は以下の表のようになっています。
| 学科 | 実技(日本FP協会) | |
| FP3級 | 約70% | 約85% |
| FP2級 | 約40% | 約60% |
| FP1級 | 約10% | 約90% |
他の資格である宅地建物取引士や社会保険労務士、簿記検定などと比べて、総じてFP技能検定試験(3級と2級)の合格率が高いことが分かります。これを見て、「なんだ、やっぱり簡単なんだ」と思うのは間違いです。基本的に、簡単なのか難しいのかということと、合格率は必ずしも一致しません。
例えば、大学の入学試験では、最も難しいと言われている東京大学の合格率は33%前後(競争倍率3倍)です。ですので、合格率が高いからといって、簡単だとは思わない方がいいでしょう。
資格は一般的に業務独占資格と名称独占資格に分かれます。業務独占資格とは、その資格を有する人だけが行える業務がある資格のことです。一方で、名称独占資格とは、その資格を持っているからといって独占的な仕事を行える業務があるわけではないが、その資格を持っていなければ名乗ることのできない名称のある資格のことです。
一般的に、業務独占資格の方が名称独占資格よりも難しい傾向があります。これは、業務独占資格を持っていれば、その資格保有者だけの競争になりますから、ある意味当然ですね。FPの資格は名称独占資格ですので、行政書士や社会保険労務士といった業務独占資格などよりは簡単だと言えるでしょう。
FP資格を受験するには受験要件があります。詳しくは下記のリンクをご覧ください。
FP3級技能検定試験の受験資格は「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」となっています。実質誰でも受験できます。次に、FP2級技能検定試験の受験資格は次のいずれかに該当する必要があります。
このことから、受験者は全員ある程度の知識を持った人たちが受験していると言えるでしょう。FP資格は相対的な試験(合格率がある程度決まっている)ではなく、正答率で合否が決まる直接的な試験です。そうしたことから、受験者全員がある程度の知識を持っているため、合格率が高いからと言って簡単というわけではありません。
FP1級技能検定試験でも受験資格はあります。こちらは、FP2級の受験資格よりもさらに厳しくなります。
| 学科 | 2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者 |
| 実技 | 1級学科試験の合格者
「FP養成コース」修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者 日本FP協会のCFP認定者 日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者 |
受験者は相応の知識(少なくともFP2級レベル)を持っている人が受験している中で合格率が低いので、FP2級技能検定試験と比べてFP1級技能検定試験は各段に難しいと言えるでしょう。
FPは性別、大学の学部問わず受けることができる
FPの特徴としては、男性だけでなく女性も多く受験しているということです。もちろん全員がそうというわけではありませんが、女性は数字にあまり強くない人がそれなりにいます。しかし、FP資格の受験者には女性が多数いるので、さほど数字を使って複雑な計算をするわけではないことが分かります。そうした点が、性別問わず受験者数が多い理由の一つでしょう。
また、大学の学部自体も、FPの内容に関わる学部は法学部や経済学部、経営学部などがありますが、それ以外の学部の方も数多く受験されています。これは、FP資格を通して得られる知識が誰にでも役に立つことを示しています。また、それが受験者数が多い理由となっているでしょう。
まとめ
今回はFPの資格は簡単?だから取っても意味がないかどうかについて考えました。FPは一般的に資格取得後、独立してすぐさま大きく稼げる資格ではありません。しかし、FP資格を取得すると、生きていく上でとても役に立つ知識が身に付きます。
FPは性別、学部問わずだれでも資格を取ろうと思えば取れます。FP資格を取得することはちまたのイメージほど(特に級が上がれば上がるほど)簡単ではありませんが、万人に役に立つ資格となっていますので興味のある方は是非挑戦してみましょう!












