こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の柴沼直美です。

今日は、「現役FPの立場から投資するときに必ず押さえておくべき2つのポイント」について触れたいと思います。

 

まずは投資をはじめてみよう

FPにご相談にいらっしゃる方のプロフィールは様々で、セミプロのような投資経験が比較的豊富でさまざまな投資商品でのご経験をお持ちの方から、まったく初めてという方までいらっしゃいます。すでにご経験豊富な方にご案内しているのは、今お持ちのポートフォリオの見直しですが、今回は初心者の方向けのご案内をご紹介します。

初心者の方はたいてい、「投資をしたいが、何から手を付けたらいいのかわからない」「数ある投資商品の中からどれを選んだらいいのかわからない」というお話ですが、分からないからといって何もしないと結局何もはじまりません。初めの一歩を踏み出していただくのに、インデックスファンドなどあまりご自身であれこれ商品を入れ替えることのないようにすると良いとご案内します。

とにかく「はじめること」そして「継続すること」です。そのために最初から頑張りすぎてしまうと、長続きしませんから「ゆるーく」「ストレスがかからないように」取り組むインフラをご案内します。

 

ポイント1:「分散投資」

「分散投資」は投資する「商品」を分散させるだけではない

投資の鉄則は、「分散投資」ですが、この内容は具体的には「商品」「通貨」そして「時間」の分散です。為替の動きはさまざまな経済的・政治的要因が絡んできますのであまりいろいろな通貨に分散してしまうとフォローするのが大変です。したがって「商品」と「時間」の2面での分散で考えてみるようにアドバイスします。

インデックスファンドに投資することで「商品」を分散させる

商品の分散についてはインデックスファンドのように徹底分散されたパッケージが販売されているので、その中から選択していただければいいですが、問題は時間の分散、あるいはタイミングです。これはどんな人でも頭を悩ませるところですが、誰でも投資するタイミングは底(安いところ)で、売却するタイミングは天井(高いところ)で実施したいと考えます。ところがこれを実現できることができないので、「投資をしたが損をした」となってしまうケースをよく耳にします。

これを回避するには、まずはお金を分けることです。そして当面「使い途が決まっていないお金」を投資に回すと区別してください。使い途が決まっていないということは「いつまでに」収益を上げなければならない、という必要性はないはずです。ですから、皆さんが投資した商品の価額が下落基調をたどっているときは、そのまま放置しておけばいいのです。

基本的にファンド(投資信託)の形で投資をするということは、すでに分散投資がなされているので、構成された商品すべての価値がなくなるまで下げ止まらないなどということはあり得ないと考えられます。(確かに将来はどうなるかわからないですが、これまでに投資信託に組み入れられた銘柄すべての価値がゼロになったことはありません)。

「時間」の分散で天井買いを防ぐ

もちろん、そのファンド価値の下落基調が長く続くこともありますが、最初にどの商品に投資しようか考えたときには、少なくとも皆さんは「このタイミングで投資をすれば、きっと収益をあげられる」と期待したはずで、それは何らかの根拠があってのことだと思います。ですが、それが思惑とはちがった動きをしたとしても、おそらく一時的な政治的イベントによるところが大きいと思われます。

さらに時間を分散するというルールに沿って、一度にまとまったお金を入れるのではなく、何度かに分けて投資するというのも有効です。そうすることで、天井で買うリスクを大幅に減らすことができます。もちろん、手数料を考えれば一度に投資したほうが割安になりますが、ピンポイントで底と天井を当てられないのであれば手数料によるマイナスはそれほど大きくはないと思います。

 

ポイント2:トレンドと日々の値動きを混同しない

必ずお伝えしているのが、トレンドと日々の値動きを混同しないようにするという点です。例えば最近の例でいえば、トランプ大統領が保護主義的な発言をするたびに相場が大きく動いています。

皆さんが、これから「どうやらこれから円安になりそうだから、日本企業にとっては追い風が吹きそう。という話で日本株インデックスファンドを購入した」とします。ところが思惑とちがって「保護主義=自動車産業をはじめとする日本企業にとって逆風=日本株が下がっている」と解釈し、早々に敗北を認めて投資した商品の売却を考えたとします。

この決定に関して、トランプ大統領の保護主義に傾斜した発言は「一時的な政治イベント」であり、それは日々の値動きであって、トレンドではありません。これから回復基調にある米国経済の(長期的)トレンドと混同しないことです。

投資をするとどうしても(特に損をしている場合は)気になって一時的な動きの方が値動きが大きく目立ちます。トレンドは何も変わっていないのですが、長期的・継続的な動きなので陰に隠れて一見見失いがちです。

加えて投資をするのは「当面使い途が決まっていない」資金なのですから、目先の動きに翻弄される必要はないのです。トレンドが変わっていない限り、必ず「売られすぎ」として反発するタイミングが訪れ、長期的なトレンドに沿った動きに回帰します。

 

まとめ

今回は、投資初心者の方が投資する際に必ず押さえておくべきポイントについてお話させていただきました。もう一度まとめると、トレンドと日々の値動きを混同しないこと、分散投資(とくに時間分散)という考え方を常に頭に残しておくことをクライアントにはお伝えしています。ご参考になれば幸いです。