こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の柴沼直美です。

今日は、「税理士でない」FPとして、どうやって税金関係のご相談に対応しているかについて自分の経験をご紹介したいと思います。

 

税理士には独占業務が認められている

税理士には次の独占業務が認められています。

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

税務代理の代表的なものといえば、納税者の代理として確定申告を行うことです。次に、税務書類の作成は確定申告をするための書類を作成することです。そして、税務相談は文字通り税務に関する相談に乗ることです。しかし、その相談内容全てが独占業務となっているわけではなく、あくまで個別具体的な納税義務に関わるものが独占業務とされています。詳しくはこちらをご覧ください。

日本税理士会連合会(税理士の業務(独占業務))

 

FPには独占業務は認められていない

一方で、ごぞんじのように、FPには何一つとして「独占業務(FPしかできない業務)」はありません。筆者は社労士でもありますので、ご相談の中で例えば年金請求などに関して個別具体的なことはご説明・ご案内することはできますが、税理士ではありませんので、クライアントから「こんな所得だけれど、税金を安く抑えたい」という相談を受けても、具体的なケースに沿って「それではこんなふうにしてはいかがでしょう」など提案することはできません。

しかし、今までの経験上、住宅ローン、そして税金に関する問い合わせが入り口の問い合わせになることが圧倒的に多いです。そんな時に、「申し訳ないけど、税理士ではないので応じられません」ということは簡単ですが、それでは二度と依頼は来ないですよね。法令に抵触しないで、クライアントにお土産を持って帰ってもらえる(相談に来てよかった)と思ってもらえる事例として、筆者は自分の例を紹介しています。

 

大きなライフイベントの経験を積もう

以前にもお伝えしたかもしれませんが、筆者は結構な年齢でして、大きなライフイベントのうち離婚以外のほぼすべてを一通り経験しています(苦笑)。それには、当然不動産の購入・賃貸・売却も含まれます。母が認知症であったこともあり、成年後見人として財産を管理した経験もあり、父が亡くなったときの相続の手続きは登記簿の書き換え以外すべて自分で行いました。

その時の経験でスムーズにできたことやつまずいたこと、役所から指摘を受けたことなど苦い経験も多々あります。このような自分の経験を、ほぼそのまま包み隠さず(脚色したりせず)実際の数字も交えてお伝えしています。単に「相続時精算課税制度」とか「小規模宅地の特例」とかを字面やイラストで説明してもなかなか伝わりません。クライアントも、リアルな話が一番参考になるといわれますし、一番親近感がわいて、さらに相談したくなる、との感想をいただきます。筆者もそれは同感です。ですからこれからFPの資格を取得して独立して実務でやっていこうと思われたら、こういった大きなライフイベントは積極的にご自身でご経験されて、将来のご相談の対応に活かされるといいのではないでしょうか

 

相談内容は個別具体的なものばかりではない

そうは言っても、やっぱり税理士に相談した方がいいと思われる場合も数多くあるのが事実。ですが、その逆も然りだと思っています。確かに、『確定申告』というピンポイントのテーマで相談することは税理士でなければ対応できません。ですが、申告書の書き方とかここの項目はどのように収支計算をやればいいとかいったこと以外のほうが実はご相談内容には多く絡まってくる場合が多いです。

サラリーマンの不動産購入検討事例

例えばサラリーマンだけれども、最近駅近のワンルームマンションを購入してテナントにも入居してもらい、収入の柱を2本にしたいと思っている。こうなったら、結局自分が支払う税金って多くなるのか少なくなるのか、多くなるならどれくらい?少なくなるならどのくらい?といった、「仮定」のご相談があったとします。

一概には言えないかもしれませんが、「士業(さむらい業とも言われます)」が税理士や弁護士の先生に相談するってちょっと敷居が高くないですか?先生に相談するのだから、こんなことはちょっと聞きづらいとか、こんな初歩的なことは取り合ってもらえないのではないか?などと思ったりしませんか?FPはこういう「仮定」の話、しかもその話にいろいろな要素が絡まり合っている話を得意とします。

この例では、

  • 不動産購入・物件の選択方法・不動産購入の手続き・テナント選び・テナントとの交渉・家賃の徴収と管理・不動産オーナーになることの費用控除後の年間収入の見積もり(ここまでは不動産事業者の専門分野)
  • 自分のサラリーマンとしての給与所得をどう不動産所得と併せていくかといったプロセス(ここに関しては不動産事業者の方の説明のトーンは明らかにダウンしていくケースが多いです)
  • これで税金はどれくらい変わってくるか(ここの分野だけを取り上げると税理士の専門だが、そもそもこれは仮定の話であるために気軽に相談し辛いし、ここに至るまでの雑多な相談内容については税理士の管轄外)
  • 購入してから以降、毎年の確定申告はどうやっていけばいいのか(ここは税理士のストライクゾーン)

と、税理士にまさに相談できる項目と不動産業者に頼らざるをえないところ、そのどちらともいえないボーダー的なところと、さまざまな項目が含まれます。

どちらとも言えない領域はFPの得意とするところ

こういった「どっちつかず」「不動産業者でもないし税理士でもないし」といったピンポイントの相談事項と相談事項をつなげることができるのはまさにFPだと思っています。筆者の場合は、「自分がどうして不動産購入をするように考えたのか=ライフプラン」「どうやって物件を選んだのか=不動産」「手続きで注意すべきこと・実際の手続き=不動産」「家賃や管理費=不動産」「給与所得との絡み=税理士業務に抵触しないようにFPとして『自分の事例』を使って説明」というように資格取得のために知識として蓄えたことと経験をご相談内容に応じてブレンドさせて対応にあたっています。

 

まとめ

今回は税理士ではないFPが実際にどのように税金関係の相談に対処しているかを、具体的な事例を交えてお伝えしました。これからFPとして独立されようと思っている方へのご参考になれば幸いです。知識と経験。この二つをいつも磨き続けることがFPとしての職務遂行の王道であることは間違いないですね。