こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の柴沼直美です。

今日は、「FP資格を取得して身に着けた知識が役に立ったことの具体例」についてご紹介したいと思います。この内容は概念的なことではなくて、もっと具体的に「○○円ぐらい得をした」と数字で測ることのできるものです。

 

 税務に関する知識は特に役に立っている

FP資格を取得して身につけた知識が役立った具体例その1:相続時

筆者が顕著に感じることとしては、「税務」に関する知識かと思います。すでに学習を進めている方にとってはおなじみかと思いますが、タックスプランニングは主に所得税に焦点を当てており、相続税は相続事業承継の課目で重点的に学習します。両親ともにすでに見送った筆者は相続についての手続きを2回経験しています。一度目はFPの資格を取得する前に、そして二度目は資格取得後かつ独立後に経験しましたが、一度目と二度目は手続きの手際も費用もまったく違いました

いざ相続が発生してから付け焼刃的に本を読み漁っても、知識が断片的にしか入ってこないばかりか、幹ができていないところに枝葉を一生懸命つけるようなもので、どんな知識をインプットすればどんな風に役に立つかもわかりませんでした。体系立てられないので、知識の入り方がすっきりしません。なぞっただけの知識に沿って動いているので「動かされている」という感覚が抜けませんでした。

一方、二度目は「なぜ、この手続きが必要か、この手続きの次に何をどの役所に行けばいいか」という導線が見えているので無駄な動きがありませんでした。そして何より、「この場合はどこに聞けばいいか」わからないということがないので、丸投げであれば、「司法書士」などの士業の先生に支払ったであろうコストはまったくかかりませんでした。実際二度目に支払った司法書士へのコンサル料は登記書類の書き換えというミニマムにとどめることができました。

FP資格を取得して身につけた知識が役立った具体例その2:不動産の売却時

不動産の売却時も然りです。どのタイミングで売却すれば、どのような税制上優遇措置が使えるか、どのような条件であれば使えることができるか、といったことは、FPの勉強をしていなければわかりません。「不動産の売却」という1つのイベントそのものであれば「不動産業者」にお願いしてしまえばいいのですが、そこに至るまでの準備段階についてどれほど周辺知識を持っているかどうかによって全く違います。

ただ、このあたりについては税理士の資格を取得しているか否かによって、FPとして「クライアントに」個別にアドバイスできるかという微妙な問題が出てきます。しかし自分が持っている知識を活用して、優遇措置を使うことができるという点は、メリットを感じた瞬間でした。

FP資格を取得して身につけた知識が役立った具体例その3:確定申告

相続については2回、不動産売却についても人生においてそれほどたくさんある機会ではありませんが、確定申告は毎年です。繰り返しになりますが、税理士でないFPは専業業務である税務に関する個別の相談を受けることはできませんが、「自分で知っている知識を自分のために使うこと」については制限もありませんし、違法でもありません。

損益通算や損失の繰り越しなど税理士であれば当たり前のことも、FPの勉強をするまでは全くの素人だったため「?」という感じでしたが、FPの資格取得の勉強をして合格するまでの知識を身につけ、さまざまなワークショップなどに参加するようになったあとは、実際に自分の確定申告で威力を発揮することができたと実感しています。

自分が理解していなければ、税理士先生にお任せで、出来上がった申告書をそのまま税務署に提出ということになったと思います。お任せということはどうしてそうなったかがわからないので、同じことを毎年税理士先生と顧問契約を結んで顧問料を支払い続けなければならないのです。

自分で勉強したおかげで、「どうしてここでこんな計算をするのか」を納得感をもって申告書を作り上げることができ、支払うべき相談料もなく、自分のスケジュールかつ自分のペースで仕上げられます。必然的に税制改正などについてもセンシティブになります。自分自身が経験したことですから個別・具体的ではないにしても、クライアントに方向性を自信をもって示すことができるようになり、本業である個別相談にも役に立ちます。

 

税務はあるゆるライフステージに絡んでくるとても重要なテーマ

以前にもご紹介したかと思いますが、税務はFPの6つの学習分野のすべてに関わってくる項目であるということは、あらゆるライフステージに絡んでくるテーマです。「タックスはどうも得意ではないので」というお茶の濁し方をしていると、おそらくクライアントは二度と相談には来ないと思います。(参照:ファイナンシャルプランナー(FP)資格の出題科目は6つからなる!

この項目について自信をもって話をするためには経験することが必須です。そういうことを考え合わせると、税務について自分で経験することは、税理士先生への支払いを減らすことができるというだけでなく、自分のクライアントへの信頼感アップという両面からのダブル或いはそれ以上のメリットといえるでしょう。

 

FP資格は、たとえいま役に立たなくても絶対に役に立つ日(ライフイベント)が誰にでもやって来る

このように述べてくると、FPの勉強は当初は無味乾燥で暗記することばかり、特にあまりライフイベントが控えていない場合はつまらないと思うことも多くあると思います。ですが、どんな人も全くライフイベントが何も起こらないで一生を終えることはありません。

来たるべきライフイベント(相続の発生や自分の老後)を迎えたときに、必ずFP資格の取得で身に着けた知識が「役に立った」と心から思えることでしょう。みなさんもFP資格を取得して知識を習得し、来たるべきライフイベントに備えておいて損はないと思いますよ。