FPの社会的な必要性について考えてみよう

ファイナンシャルプランナー(FP)の柴沼直美です。FPとして活動して10年ほどになりますが、今日は日米でのFPの役割や社会的地位について、ちょっと堅苦しいテーマになりますが、経験を通して感じたことをお伝えしたいと思います。

 

FP業務の実態

まず筆者のFPとしての相談業務ですが、10年ほどの活動を通じて、ご相談者のプロフィールやご相談内容は、時代背景とともにかわりますが、ご相談者が増えたという実感はありません。この理由やこれからの流れについては後述しますが、その前に統計数字をみながら、FP業務の実態をご紹介します。下の表は日本のCFPおよびAFPの認定者数(出所:日本FP協会(CFP®認定者・AFP認定者数データ))です。

CFP®認定者 AFP認定者
2013/1/1 18,578 154,872
2014/1/1 19,217 155,296
2015/1/1 19,793 154,294
2016/1/1 20,307 154,419
2017/1/1 20,705 154,715

現在、日本FP協会には約2万人のCFP認定者が登録されています。10年前の2007年は1万4,000人でしたから、着実にFP人口は増加しているといえます。一方FPの御膝下ある米国では現在17万人が登録されています(FPSB Organizationホームページより)。もっとも米国でFP制度がスタートしたのが1969年、日本は1998年(日本FP協会ホームページより)、米国の人口や、国が老後の面倒を見てくれる日本VS.自助努力が当たり前の米国というお金との付き合い方・考え方の違いなどから一概に比較することはできません。しかし少子高齢化が加速する環境下、日本でも「自分で自分の資産を保全・成長させる」という風潮に移行しつつあることから、今後のFPに求められる社会的な存在意義は大きくかわることは間違いないと思います。

もう少し統計的な話におつきあいください。下の図はCFP®認定者・AFP認定者の業種別属性(出所:日本FP協会(データで見るFP資格))です。

 

CFP®認定者・AFP認定者の業種別属性

 

現在日本のFP認定者(CFP、AFPを含む)の業種別属性は、保険会社・証券会社・銀行などの金融機関が多く、次いで不動産となっています。ここから見てもうかがえるように、現状、いわゆる米国でのFPのように「家計のホームドクター」として純粋独立系のFPは極めて少なく7%にとどまっています。これは何を意味するのか、FP専業では職業として成り立たないということです。

 

FP専業では職業として成り立たない?

なぜ成り立たないのかですが、需要が少ないからにほかなりません平たく言うと、お客さんがいないということです。その理由は大きく二つあります。

今まで国が面倒を見てくれていた

一つ目は、「今まで」社会保障が充実していた日本では住宅を購入する、教育費を賄うなど、大きな支出があって家計がせっぱつまった状態でなければ自分で自分のお金の管理をする必要は基本的になかったからです。

目に見えないサービスに対してお金を払うことへの抵抗

二つ目は、「相談するという目に見えないサービスにお金を払うことに対する抵抗」が根強いからだと思っています。海外を旅行した方ならお気づきだと思いますが、日本の「おもてなし」は群を抜いていますよね。ホテルや旅行先のテーマパークなどで、丁寧な対応で迎えてくださる。

筆者も、ディズニーランドが好きで、世界のいろいろな都市のディズニーリゾートを訪れたことがありますが、日本以外のリゾートに行って東京に戻ってくると、「やっぱりこれ」と思ったことが何度もあります。そういった、「目に見えない、付加価値サービス」にお金を余分に払わなければならないなどと誰も考えないでしょう。当たり前になっているんですね。

ですから、例えば金融機関で「無料セミナー」とか「無料相談会」というイベントが催されたとすれば「無料で丁寧な説明を聞くことができる」。と解釈して、わざわざ、有料の個別相談やコンサルティングを受ける必要性を感じないのだと思います。

 

無料のサービスは存在しない

しかし、実は、無料とはいっても、セミナーを実施している人、相談を請け負っている人は、その時間をボランティアで奉仕しているわけではないということに気づくべきです。どこかから、手数料をもらって、それを生活の糧にしているのです。相談の解決策に導くゴールは主催者側の意図した商品の勧誘となるのは当たり前のことです。

 

公平な立場から客観的で適切なアドバイスが求められる

筆者に個別コンサルティングを求めてご相談に来られる方は、「公平性・客観性」というポイントを重視しているという共通点があります。例えば無料セミナーで「こんなふうに試算されたが、セカンドオピニオン的な立場で、本音で答えてほしい」などという感じです。わざわざ、筆者の考えをご相談料を払い・時間を使って聞きに来られるので、こちら側も、いい点・悪い点を必ず理由を添えて説明します。時には「このくらいの住宅の購入を検討しているが、住宅ローンはこのくらいで」と夢いっぱいで、「背中を押してほしい」オーラ全開で聞かれても、「前提条件が崩れてしまうと、明らかに家計の赤字に陥ってしまうのでこの水準の物件は『自分ならば購入対象としない』」というように夢を打ち壊してしまう結論を説明することもあります。それが「公平性・客観性」を貫くことになると考えます。

 

まとめ

これからのFPはこのような、「自分の知識と経験で培ったスキル」を「客観的に」クライアントに「わかりやすく」アドバイスする伴走者的役割を求められるようになると思います。また、そうすることでFPの社会的な地位や必要性も高まっていくと思います。ただ、「家計を自助努力で管理する」時代になり、相談する側もFP任せでは乗り切れないことを認識しなければならないでしょう。萎縮したり身構えたり必要はないかもしれませんが、「無料相談で聞けばいいから」と言って無邪気にただ相談会に足を運んですべてを解決させようと思わないことです。自分で調べられることは自分で調べる、ここまでは調べたけれど、ここから先はよくわからないという感じで最低でも疑問点を明らかにしてからFPへの相談に臨むようにすることが大切かと思います。