こんにちは。ファイナンシャルプランナーの柴沼直美です。

今回は金融業界(銀行、証券、保険)に見られる動きについて触れたいと思います。FP資格の取得を推奨している、あるいはし始めていると感じているかたもいらっしゃると思いますが、その背景を探ってみましょう。

 

FP資格を取得すると金融業界に就職・転職しやすいの?

就職・転職に役立つ理由

まず、思い浮かぶのが、「FP資格を取得すると、金融業界に就職・転職しやすい」からという答えかと思いますが、それはイエスでもあり、そうでもないとも言えます。まずイエスの理由ですが、大きく分けて二つあります。ここで採用する側の立場に立って考えてみましょう。

まず一つ目です。FPの資格取得のために当然ですがお金に関わるほぼすべての分野を(浅くではあっても)広く学習しますから、「そもそもローンとは」などという超基本的なところはわかっているという前提で研修をすることができるので効率的です。

次に二つ目です。採用にあたって、たとえ応募者の方が全くの異業種からの転職であったとしても、資格取得の学習をやって合格という結果を残したことは「基本的知識が身についている」「それだけのやる気があるのだから、採用したあとも自分で吸収してくれるだろう」という推測の根拠になります。この2点からイエスです。

就職・転職に必ずしも直結して役立たない理由

では「そうでもない」というのはどういうことかといえば、専業業務が何もないというところにつきます。FP資格は確かに幅広くお金に関連する知識を問う資格ですが、資格を取得したからといって、FPしかできない業務は何もありません。そういう意味ではむしろ証券外務員のほうが業務に直結します。なぜなら、有価証券の売買の仲介や提案をするのには、証券外務員資格を保有していなければできないという専業業務があるからです。

FPの資格は外務員資格や宅地建物取引士など業務に絶対必要なものではない

このように書いてくると、「FPの資格を取得しても業界が推奨しているわりには業務に役立たないのであれば、意味がない」と思われるかもしれませんが、そこは難しいところです。

例えば皆様が、具体的に不動産業界に転職したいのであればFPの資格を取得しても、宅地建物取引士を取得しない限り、アシスタントの仕事以上は任されないと思ってください。不動産の売買契約で必ず宅地建物取引士が同席しなければならないという規定があるからです。

保険契約においても、必ず外務員資格を保有していなければ保険商品を販売することはできないという規定があります。ですから、これらの資格はスタートラインにたつために必須なのです。

 

FP資格を持っていると、他の人よりも一歩前に出ることができる

しかし、同じスタートラインに立った人が3人いた場合、より一歩前に出るにはFP資格は大きな威力を発揮します。この根拠は再三お伝えしている通り、ライフステージおけるお金がらみの問題を幅広く理解しているからです。

学習をすでに進めている方は実感としてお持ちだと思いますが、本当に幅広いです。でもその幅広いピースがお客様の相談ごとになると、合体・融合するのがあたりまえで、バラバラのピースのまま、ということはないのです。

 

お客様の相談事にこたえるためにはライフプランや様々知識が不可欠

保険商品を販売するにしても、将来のライフプランの話になりますし、子どもの教育費や住宅取得の話が必ず絡んできます。そしてそれらは境界線もありません。「生命保険販売はいたしますが、お子様の教育費のことはちょっとお応えしかねます」と線を引いてしまうと、お客様はそもそも「どこからどこまでが、生命保険販売員の管轄内なのか」わからないので戸惑ってしまいますよね。その戸惑いは、足が遠のく、リピーターにならない、クレームのもとになる、という流れとなって長期的にはFP資格保有者との差になります

以前は、もう少しすみわけができていて、全体をまとめる役目を果たす人、商品に関してマニアックなぐらい詳しいけれどライフプランのようなつかみどころのないテーマには疎い人、という感じでそれぞれがフォローし合うという業務の進め方も一般的だったかとは思います。

ですが今は、以前よりも効率重視、すなわち一人何役もこなさなければならない、という時代になっています。商品知識・専門知識の深堀プラス周辺知識・全般的なお金との付き合い方の両方について提案できることが求められています。

市場規模はそれほど大きくならない中でのお客様をいかに多く、深く関係を構築していくかで、その金融機関の売り上げは決まります。全方位的な知識を備えるには、全体の家計運営の中で、住宅ローンはどんな風に決めるのか、どんな保険商品にするのか、どんな資産運用方法をとっていけば節税にもつながるのか、といった提案できることが求められます。

 

FP資格取得で得られる知識は時代のニーズに合っている

そうなるとFPの資格の勉強ほど役に立つことはないかと思います。スタートラインに立つために、専門の勉強をして知識を詰め込んだ上にFPの資格取得の勉強をするなんてムリだと思われる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、それほど心配されなくて大丈夫です。なぜなら、それぞれの金融業界の専門の資格試験とFPの試験の範囲はかなり重複しています。一石二鳥が狙えるのです。例えば宅地建物取引士の勉強をすれば、FPの不動産の部門の80%以上はカバーできていると思います。

時代が一人何役もの役割を担うことを求めている。それゆえ業界がFPの資格取得を推奨しているのであれば、その流れに乗って学習しましょう。自分磨きの暁には、きっと別の景色が見えてくると思います。