ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得をしても意味がない?

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の柴沼直美です。今日は、時代の変化の中でいかにFPという資格を活かしていくかということについてお話したいと思います。

以前、まだまだFPに対するニーズはそれほど定着していないということに触れたかと思いますが、それだけを聞くと、「FPの資格を取得しても職業に活かすという意味では役に立たないのでは」と理解された方もいらっしゃるかと思います。これについては筆者の書き方に問題があったかと思い、訂正させていただこうと思います。

 

FPは将来なくなる職業?

その前に、よく報道で取り上げられている職業に関するニュースを1つご紹介したいのですが、例えば、2013年のオックスフォード大学のオズボーン教授が発表した10年後になくなる職業について発表したことがありましたが、そこから派生して日本でもさまざまな雑誌やメディアでとり上げられるようになりました。詳しく知りたい方は英語の論文になりますが、下のリンクをご覧ください。

THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? | Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne

日本語での解説では以下のリンクで分かりやすく書かれています。

オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」

当然、なくなる職業の中にFPを含めた記載もあり、これだけをみると一気に勉強するモチベーションが低下してしまいますよね。

ただ、将来なくなる職業として取り上げられているのは、主にロボットやAI(人工知能)によって置き換えられる可能性があるという意味です。以前にもご紹介した通り、FPは6分野(ライフ・リスクと保険・タックス・金融資産設計・不動産・相続および事業承継)に分かれています。なお、それぞれの分野について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

ファイナンシャルプランナー(FP)資格の出題科目は6つからなる!

この境界線は厳格に割り切れるものではなく、例えば金融商品を買えば当然タックス(税務)に関わる疑問点が発生し、相続が発生すれば不動産をどのように処理すれば最も課税金額が少なくなるか、という問題がでてくるわけで、それぞれが密接に絡まりあっているというのがファイナンシャルプランニングです。

その根底にあるのは日々の家計で、それを運営している私たちの家族構成も日々子どもが生まれたり、巣だったり、両親が介護状態になったりなくなったりと変化しています。

これらを例えばすべてコンピュータ・プログラミングに組み込んでAIの力でベストな提案を提供できるでしょうか?筆者はできないと思っています。

 

クライアントへの提案はAIでは難しい

筆者はクライアントに対して、6分野の境界線と6分野のうちに複数の分野にまたがっている領域について双方の問題点を最小限に抑えながら提案する場合、ベストソリューション、セカンドベストそしてサードベストまで示し、例えば課税額を最小に抑えたければ、1番目、収益を最大にしたければ2番目というように条件を一緒に提示しています。

そのうえで、最終的に決定するのは、筆者ではなくクライアント。クライアントが自分で納得する形でどの選択肢を採るかを決めるから満足していただけると思います。こういった質問と提案のやりとりは、まさにAIではなく人間間のコミュニケーションでしか成り立たないものだと思っています。

少し抽象的な話になりましたので具体的な話で紹介しましょう。例えば、iDeCo(イデコ)。法改正により個人でも確定拠出年金で老後の資金を準備できるようになりましたね。NISA(ニーサ)と同様、「名前だけは聞いたけど、これってそもそも何?」「自分は派遣で仕事をしてきたから、将来どうやら年金ってたくさんもらえそうにないけど、どうしたらいいの?」といった『雲をつかむような』ハナシをそこここで耳にします。でもあまりにも漠然としすぎて、「だれに」「何を」相談すればいいのかすらわからない。そういう不安をぶつける先が私たちファイナンシャルプランナー(FP)です。

具体的にこれは税金の問題だ、不動産登記の問題だ、とわかっているものは、士業の先生方(弁護士・司法書士・税理士など)に聞けばいいのです。

 

適切なアドバイスをするため、FP資格取得後も法改正・制度改正の知識が必要

FPである私たちも、最初から自分のテリトリーを決めてしまわないで(本当はそうしたほうがターゲットが絞れて対策も立てやすいのですが)、つかみどころのないつぶやきをうまく拾って、具体的にどこをどう改善していけばよいか、そのためにはどのような対策をたてるべきか、どういった役所に行けばいいのか?金融機関に行けばいいのか?不動産業者に行けばいいのか?それとも士業の先生に相談すればいいのか?といった道筋をいくつか示すことができるように、視野を広く柔軟に日々の法改正・制度改正について吸収していく必要があります

 

世の中が複雑になればなるほどFPの活躍の場は広がる

まさに道なき道を開拓していくようなものですから、既定の方法に沿って処理していくといったタイプの仕事とは対極かもしれません。昔から決まった科目を決まった方法に従って学習してきた日本人にはなかなか馴染みにくいでしょう。ですが、どんなにAIが発達しようと置き換えがきかない、人間しかできない仕事であると思います。やり方はひとそれぞれ。皆さんが得意分野を深堀しつつ、6分野全体を見渡せるようにしておけばいいのです。

言葉を選ばずにあえて書くとすれば「雑学王」であればあるほど、間口が広くなってビジネスチャンスも大きくなるのではないでしょうか。最後にまとめるとすれば、「柔軟性」とクライアントの根底にある不安を拾うことのできる「傾聴力」があれば、世の中が複雑になればなるほど(実際にそうなっていますが)活躍の場が広がる仕事がFPであると言えるのではないかと思っています。

(ご参考:世の中は複雑になってきている:VUCAとはなにか?打ち勝つ人材の3つの資質